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修行としての写経



修行としての写経

「写経とは、経典を書き写すことです。
経典は、仏の心・教えですから、写経をするのは“仏を写す修行”といえます。
写すは移すで、仏の心や教えを、私たちの身や心に転移する願いの実践です」。

これは川崎大師平間寺の写経会案内文の一節です。
写経とは仏の言葉を写す=仏を自身に移す=仏と一体になる修行なのです。
『般若経』や『法華経』には経典を受持・読誦・解説するとともに書写する人に大いなる功徳があると説かれています。
今も昔も経典の書写は、仏教徒にとって重要な修行の一つなのです。

仏教の修行には大きく分けて二つの目的があります。
一つは自身を向上させること、自分の利益のための修行です。
二つ目は他人に利益を与える修行です。

前者は自利行、後者を利他行といいます。
大乗仏教では、この二つの修行を行う人を菩薩といいます。
具体的な菩薩の修行徳目して布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧の六波羅蜜の実践が求められます。
写経はこの六波羅蜜にかなう尊い修行の実践なのです。

納経・奉納

さて、仕上った後の写経は、どのようにしたらよいのでしょうか。
心を込めて書き上げた写経を、粗末にはできない。
もちろん捨てることなど到底出来ません。
写経はお寺に納経・奉納することにしましょう。
納経することによって、より仏さまとより深い縁を結ぶことが出来るのです。

納経する場合、写経の最後に「願文」「書写年月日」「氏名」を書くようにします。
願文には祈願と供養の2つがあります。

祈願の場合には、
「為家内安全也」「為身上安全也」
「為災厄消除也」「為病気平癒也」
「為学業成就也」「為良縁成就也」
「為安産満足也」「為心願成就也」

供養の場合には、
「為○○家先祖代々精霊菩提也」
「為○○(戒名・法名)菩提也」

などいずれも「為」の字の次に願いの言葉(願意)を書きます。
また願文は自分の願いですから、和文で書いても構いません。
あまり長くならないよう簡潔に書くようにします。

さて納経の方法ですが、お寺の写経会に参加された場合は、そのお寺に納めるのが普通です。
自宅やその他の場所で書いた写経については、関係するご寺院があれば、お彼岸やお盆などの法要のとき、あるいは年忌法事などの際に納めることも功徳のあることです。

また身近なお寺でも納経を受け付けてくれるところもあります。
事前に問い合わせをしてご自身で持参するようにするのもよいでしょう。
郵送などでも受付けているお寺もあります。事前に問い合わせる必要があります。

全国には弘法大師の四国八十人ケ所霊場、西国・坂東・秩父等の三十三観音霊場、不動尊三十六霊場など様々な霊場があり、これら霊場・札所への巡拝の機会などがあれば、こういう機会に納経するのも功徳のあることです。

自分が精魂こめて書き上げた写経を、身の回りに置いて諸仏の加護を願いたいという人もいると思います。
自宅で保管する場合は、粗末にならないように写経箱又は写経文庫のようなものを用意して仏間など清浄な場所に納めておくようにしましょう。
仕上がったものが多くなった場合は菩提寺や由縁のあるお寺などに納めることをお勧めします。

納経に際しては、そのお寺のご本尊様の前で読経していただき、よくよく祈念して納経料を添えて納めるようにしましょう。
納経帳があればその時にご朱印をお願いするようにします。
一回に納経する数に決まりはありません。
汚れたり破損したりすることのないように封筒や筒などに入れて納めます。

現代はスピードが特に要求される時代、パソコンやメールなどのテクノロジーの普及で自筆での手紙を書く機会が減ってきています。
ましてや筆を持つ機会は皆無といっても過言ではありません。

日々の生活が多忙を極めている人も多くなっています。

多忙の「忙」は心を亡くすことです。自分の心を見失うことです。

このような時代にこそ写経によって、自身を見つめ直す静寂な空間の時間をお勧めします。


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