用具
【紙】
写経用の料紙として、黄檗で染めた鳥の子紙が一番適すといわれていますが、かな用の染紙、唐紙、雲紙、具引紙なども用いられます。
丁寧に時間を十分かけて書くものですので、あまり粗末な料紙は使わないようにしたいものです。
写経用紙として市販されているものには、紙質も鳥の子、三、楮、洋紙などがあります。
界線(罫のことを写経では界といいます)が印刷されたものもあります。
最初はできあいの写経用紙を買い求めて使用するのもよいと思いますが、やがてご自身で染紙に適当な大きさに界線を引いて使用してみたいものです。
▼紙の種類
●斐紙
雁皮を用いた強靱で滑らかな上質な紙です。奈良時代には斐紙、平安時代には厚様、薄様と呼ばれていました。
鳥の子紙は室町以後名付けられた用紙で、玉子の殻の色に似ているのが特徴です。
●麻紙
奈良時代の最上質の紙です。麻布を細く切った紙麻から抄造したものです。
●穀紙
奈良時代に楮を原料として抄造した紙です。
●楮紙
楮は荒地にも栽培できるので、日本全国各地で作られました。
楮とよく似た桑科の樹木も用いられ、日常使用の紙はほとんど楮紙で、平安、鎌倉から今日に至っています。和紙といえば楮紙といわれる由縁です。
▼染の種類
写経には黄檗染めがよく使われます。
黄檗染めは、黄檗の皮を煎じた汁で染めたものです。防虫の効果があり、写経用紙として最もポピュラーな用紙として用いられてきました。
このほかに丁子染め、丁子吹き、香染め、紺紙、紫紙などがあります。
丁寧に時間を十分かけて書くものですので、あまり粗末な料紙は使わないようにしたいものです。
写経用紙として市販されているものには、紙質も鳥の子、三、楮、洋紙などがあります。
界線(罫のことを写経では界といいます)が印刷されたものもあります。
最初はできあいの写経用紙を買い求めて使用するのもよいと思いますが、やがてご自身で染紙に適当な大きさに界線を引いて使用してみたいものです。
▼紙の種類
●斐紙
雁皮を用いた強靱で滑らかな上質な紙です。奈良時代には斐紙、平安時代には厚様、薄様と呼ばれていました。
鳥の子紙は室町以後名付けられた用紙で、玉子の殻の色に似ているのが特徴です。
●麻紙
奈良時代の最上質の紙です。麻布を細く切った紙麻から抄造したものです。
●穀紙
奈良時代に楮を原料として抄造した紙です。
●楮紙
楮は荒地にも栽培できるので、日本全国各地で作られました。
楮とよく似た桑科の樹木も用いられ、日常使用の紙はほとんど楮紙で、平安、鎌倉から今日に至っています。和紙といえば楮紙といわれる由縁です。
▼染の種類
写経には黄檗染めがよく使われます。
黄檗染めは、黄檗の皮を煎じた汁で染めたものです。防虫の効果があり、写経用紙として最もポピュラーな用紙として用いられてきました。
このほかに丁子染め、丁子吹き、香染め、紺紙、紫紙などがあります。
【筆】
写経の書体は、形が整っていることが必須条件なので、それに適した筆が望まれることになります。
中国製の小筆は安価で案外書けるものがありますから、何種類か試し書きして、ご自身の手に合ったものを選ぶとよいでしょう。
日本製の小筆は製法も丁寧ですが高価なようです。
小筆の寿命は使い方と料紙によって多少異なりますが、普通は一本あたり般若心経四、五巻分は十分に書けるようです。
筆の大きさは軸のすげ口の太さを号で表しますが太字用は三、四、五号くらい、中字用は六号、細字用は七号から九号くらいとなります。
新しい筆を下ろす場合は、布海苔で毛を固めてありますので、指先で穂先の三分の一くらいを丁寧に揉み解し、水で湿らせて糊気をよく落とします。
糊気は一回では落ち難いので、水に二~三回繰り返して漬けてから、水分といっしょに紙か布で拭き取ってしまいます。
水気を拭き取ったものに、いよいよ濃墨を含ませます。 墨を含ませる部分は半分か、三分の一くらいにします。
あまり根元まで含ませますと、穂先が割れてしまったり、腰も弱くなって書き難くなってしまい、長持ちがしなくなってしまいます。
使った後は、水で湿らせた反古紙、又はスポンジに水を含ませて墨の部分をよく拭き取って、形を整えて、了ってください。
使った後の手入れが悪いと、腰が固くなったり、穂先が割れてしまったり腰も弱くなって書き難くなり、長持ちしなくなってしまいます。
中国製の小筆は安価で案外書けるものがありますから、何種類か試し書きして、ご自身の手に合ったものを選ぶとよいでしょう。
日本製の小筆は製法も丁寧ですが高価なようです。
小筆の寿命は使い方と料紙によって多少異なりますが、普通は一本あたり般若心経四、五巻分は十分に書けるようです。
筆の大きさは軸のすげ口の太さを号で表しますが太字用は三、四、五号くらい、中字用は六号、細字用は七号から九号くらいとなります。
新しい筆を下ろす場合は、布海苔で毛を固めてありますので、指先で穂先の三分の一くらいを丁寧に揉み解し、水で湿らせて糊気をよく落とします。
糊気は一回では落ち難いので、水に二~三回繰り返して漬けてから、水分といっしょに紙か布で拭き取ってしまいます。
水気を拭き取ったものに、いよいよ濃墨を含ませます。 墨を含ませる部分は半分か、三分の一くらいにします。
あまり根元まで含ませますと、穂先が割れてしまったり、腰も弱くなって書き難くなってしまい、長持ちがしなくなってしまいます。
使った後は、水で湿らせた反古紙、又はスポンジに水を含ませて墨の部分をよく拭き取って、形を整えて、了ってください。
使った後の手入れが悪いと、腰が固くなったり、穂先が割れてしまったり腰も弱くなって書き難くなり、長持ちしなくなってしまいます。
【墨】
写経用の墨は和墨(日本製)が最も適すようです。
油煙墨と松煙墨とがありますが、写経用には油煙墨をが適します。
写経するにあたっては墨の使用量は微々たるものですので、純油煙墨の上質のものを使われるとよいと思います。
大きさは一挺形(目方15g)、又は、半挺形で、上等の和墨がよく、墨の香りについても和墨は唐墨よりも優れています。
墨は枯れるほどよくなるといわれています。少なくとも製造してから三~四年以上たったものがよいとされています。
気に入ったものがあれば数挺買っておいて、自分の手元において枯らしてから使うのをおすすめします。
墨汁や練り墨は便利なようで使いたくなりがちですが、写経には適さないようです。
まず香気がありませんし、粘り気が強く線質がスッキリしなくなりますし、墨色も劣ります。
硯面に水を注ぐ場合、五~六滴にします。
それをていねいに、墨汁の粘り具合が自分の好みにあうように注意してから擦っていってください。
十行から二十行書いて、硯面に墨がなくなったところで、また五~六滴注いで新しく擦り足します。
これを繰り返したほうが墨色が冴えてきます。
一度にたくさんの水を注ぎ、墨池いっぱいに溜まるほど擦っておくのは、長時間同じ墨色で使えるようにと思いがちですが、実は硯面の水分は蒸発してしまい、墨池の墨は沈殿したりするので、かえって一定の墨色を保つことができ難くなるのです。
墨の擦り方は、あまりカを入れず、硯面に対して墨は四五度くらいの角度に傾けて擦っていきます。
これをときどき表裏をとりかえて擦っていくと、墨の擦り口がV形になります。
こうすれば墨の擦り口が斜めになることがなく、墨を擦る力も平均するようになります。
擦り溜めた墨は長時間そのままにして置くと沈殿してきます。
こうなると腐敗寸前の状態で、墨汁の粘りがあまりにも強くなってしまい使用に堪えられなくなってしまいます。
くれぐれも余分の墨を擦り溜めしないようにしましょう。
使い残りの墨は反古紙できれいに拭き取っておくことも忘れないようにしましょう。
油煙墨と松煙墨とがありますが、写経用には油煙墨をが適します。
写経するにあたっては墨の使用量は微々たるものですので、純油煙墨の上質のものを使われるとよいと思います。
大きさは一挺形(目方15g)、又は、半挺形で、上等の和墨がよく、墨の香りについても和墨は唐墨よりも優れています。
墨は枯れるほどよくなるといわれています。少なくとも製造してから三~四年以上たったものがよいとされています。
気に入ったものがあれば数挺買っておいて、自分の手元において枯らしてから使うのをおすすめします。
墨汁や練り墨は便利なようで使いたくなりがちですが、写経には適さないようです。
まず香気がありませんし、粘り気が強く線質がスッキリしなくなりますし、墨色も劣ります。
硯面に水を注ぐ場合、五~六滴にします。
それをていねいに、墨汁の粘り具合が自分の好みにあうように注意してから擦っていってください。
十行から二十行書いて、硯面に墨がなくなったところで、また五~六滴注いで新しく擦り足します。
これを繰り返したほうが墨色が冴えてきます。
一度にたくさんの水を注ぎ、墨池いっぱいに溜まるほど擦っておくのは、長時間同じ墨色で使えるようにと思いがちですが、実は硯面の水分は蒸発してしまい、墨池の墨は沈殿したりするので、かえって一定の墨色を保つことができ難くなるのです。
墨の擦り方は、あまりカを入れず、硯面に対して墨は四五度くらいの角度に傾けて擦っていきます。
これをときどき表裏をとりかえて擦っていくと、墨の擦り口がV形になります。
こうすれば墨の擦り口が斜めになることがなく、墨を擦る力も平均するようになります。
擦り溜めた墨は長時間そのままにして置くと沈殿してきます。
こうなると腐敗寸前の状態で、墨汁の粘りがあまりにも強くなってしまい使用に堪えられなくなってしまいます。
くれぐれも余分の墨を擦り溜めしないようにしましょう。
使い残りの墨は反古紙できれいに拭き取っておくことも忘れないようにしましょう。
【硯】
写経用の墨汁は極めて少量で済みますので、出来るだけ小形の硯をお勧めします。
硯は文房四宝の中で〈筆、墨、硯、紙〉最も寿命の長いものとされてきました。硯は一生のもの。子孫の代まで愛用して使えるものなのです。
硯の表面は滑らかにみえますが、「鋒芒」(石の目)とよばれる細かい凹凸になっています。大根おろしの歯のようなギザギザになっていて、これで墨が削られて擦れるのです。いくら固い石でも鋒芒がなければ硯とはよべません。
硯を使った後は、墨をよく拭き取ります。また、鋒芒は長く使っていると潰れてくるので、研磨用の小さな砥石で、墨をするのと同じように静かに硯面を磨きますと鋒芒が戻ってきます。
▼硯石の種類
中国産の「湍渓石」や「歙州石」の小形のものが安価で手に入りやすいと思われます。
国産の硯石では「玄昌石」「雨畑石」「竜渓石」の小形のものが写経用としては最もポピュラーです。
硯は文房四宝の中で〈筆、墨、硯、紙〉最も寿命の長いものとされてきました。硯は一生のもの。子孫の代まで愛用して使えるものなのです。
硯の表面は滑らかにみえますが、「鋒芒」(石の目)とよばれる細かい凹凸になっています。大根おろしの歯のようなギザギザになっていて、これで墨が削られて擦れるのです。いくら固い石でも鋒芒がなければ硯とはよべません。
硯を使った後は、墨をよく拭き取ります。また、鋒芒は長く使っていると潰れてくるので、研磨用の小さな砥石で、墨をするのと同じように静かに硯面を磨きますと鋒芒が戻ってきます。
▼硯石の種類
中国産の「湍渓石」や「歙州石」の小形のものが安価で手に入りやすいと思われます。
国産の硯石では「玄昌石」「雨畑石」「竜渓石」の小形のものが写経用としては最もポピュラーです。
【机】
机は、高さ33センチくらいが一般的とされています。
あまり高すぎると書き難いし、低過ぎても姿勢が悪くなってしまいます。
足の指を重ねて静座したときに、しびれ難くい高さが良いと思われます。
椅子に腰かけて書くときは、たいてい机が高すぎるようですから、座布団などを敷いて適当な高さに調整するとよいでしょう。
あまり高すぎると書き難いし、低過ぎても姿勢が悪くなってしまいます。
足の指を重ねて静座したときに、しびれ難くい高さが良いと思われます。
椅子に腰かけて書くときは、たいてい机が高すぎるようですから、座布団などを敷いて適当な高さに調整するとよいでしょう。
【文鎮】
紙を動かさないために使います。
紙が動かなければ、金物でもガラスでも石でも木でも何でもよいですが、なるべく細長い形状のほうが、紙を押さえるのに都合がよいようです。
写経料紙と手本の両方に必要ですから、小形の文鎮を二~三個用意しておくとよいと思われます。
紙が動かなければ、金物でもガラスでも石でも木でも何でもよいですが、なるべく細長い形状のほうが、紙を押さえるのに都合がよいようです。
写経料紙と手本の両方に必要ですから、小形の文鎮を二~三個用意しておくとよいと思われます。
【塗香】
香料を細かく粉末にしたもので、たいへん香りのよいものです。
手のひらに刷り込むように塗ってから書き始めると写経の気持ちを引き立てるばかりか、手の脂が料紙に着く心配がなく、夏季などにはたいへん重宝なようです。
手のひらに刷り込むように塗ってから書き始めると写経の気持ちを引き立てるばかりか、手の脂が料紙に着く心配がなく、夏季などにはたいへん重宝なようです。
【覆面瓠】
清浄な半紙と紙縒で作ったマスクのようなものです。
写経するときに息が直接書いた文字にかからないように口を覆うものです。
ゆるく口に当たり、ゆっくりと呼吸できる程度のものがよいです。
写経するときに息が直接書いた文字にかからないように口を覆うものです。
ゆるく口に当たり、ゆっくりと呼吸できる程度のものがよいです。
【料紙の天地と前後のサイズ】
写経料紙は長さ四七センチ、高さ三〇センチくらいが標準サイズとされています。
これに天地(上下)に横の界線を引きます。
天地の界線の間隔は、およそ二〇センチです。
天(上)のあきより地(下)のあきの方を少し広くするようにします。
これは経典を下には置かず、少しでも上にという崇敬の気持ちを表しているのです。
天地の広さの割合は四分六分くらいが適当と思われます。
前後は一行あけるようにします。
これに天地(上下)に横の界線を引きます。
天地の界線の間隔は、およそ二〇センチです。
天(上)のあきより地(下)のあきの方を少し広くするようにします。
これは経典を下には置かず、少しでも上にという崇敬の気持ちを表しているのです。
天地の広さの割合は四分六分くらいが適当と思われます。
前後は一行あけるようにします。
写経の知識
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