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写経を始めるにあたって



写経を始めるにあたって

写経は本来、仏教伝道のひとつの方法でしたが、印刷技術の進歩という物質の豊かさ・発展とともにその使命自体が薄れてきました。
単に教えを理解するだけならば、印刷されたものを使えばよいのですが、経典を書写することは、教えに対する深い親しみや味わいなどが得られます。

経典は元々、釈尊の教えを書面にしたものであり、仏教徒にとって聖なるものです。
人間には聖なるものへ、憧れや追求欲があります。
したがって経典を読誦し、書写し、解説することは聖なる仏と一体になることに繋がるのです。
どんなに上手な書家の墨蹟も、展覧会に並ぶ書は鑑賞するだけのものです。
礼拝されることは決してありません。
その点経典を書写する写経はどんなに拙い字であっても、拝まれる対象に変わり、粗末に出来ません。そこがお写経の力でありまさに『功徳』ではないかと思います。

最近はテクノロジーの発達で原稿などは書くより、パソコンのキーボードを打つことが多くなってきました。
そこでですが、直筆の場合とパソコンを使う場合とでは脳の働きがだいぶ違ってくるようです。
また文書や手紙を受け取る場合も、直筆と印刷文字とでは明らかに違います。

さて、これから写経するにあたっての道具や作法、注意点など紹介していきます。
まず始めるにあたって、こころにとめていただきたいことを記しておきたいと思います。
一、初めは敷き写してもよい。まずは気軽に筆を持つことです。
二、次に料紙を選びます。鳥の子系の美しいものがよいでしょう。(練習用紙もいろんなものがあります)
三、ではゆっくりと書いていきましょう。速く写すことは考えものです。
四、次に字粒を揃えることに気を配りましょう。
五、書くときは、横画は細めに、縦画は太めになるようにしましょう。
六、罫線(界線)を無視しないように列を揃えて書きましょう。
七、墨色はやや濃いめがよいでしょう。
八、疲れたら休みます。決して、無理しないようにします。
九、一巻を完成します。達成感を感ずるようになり、また書きたくなります。
目的はいろいろでも、写経をしているとき、また書き終わったときの清々しさは写経の大きな魅力となっています。
まずはゆっくりで結構ですので、一巻の書き上げに挑戦してみましょう。


『写経』は一心不乱に書くことで「功徳」が得られるのです。

ご寺院の写経会に参加された人のなかには、連れ添いや(夫や妻)子どもを亡くした人などが悲しみを胸に秘め、一心不乱に書かれるような場面に遭遇することがあります。
お経は聞くより読むほうが「功徳が得られる」と言われますが『写経』も人が書写したものを眺めるのではなく、実際にご自身で書いてみることです。
それで功徳が得られるのです。上手、下手は関係ありません。ただ一心不乱に書くことが大事なのです。

般若心経にまずは挑戦してみましょう

読誦経典として広く用いられている「般若心経」二七六の文字数があり、先祖の回向や祈願の経、巡礼の際に唱えるお経として定着しています。
一行を十七文字として、ひと筆で一行を書ききるのが正式。
書き終えたら墨を足して、また一行を書いていきます。
熟練していけばできるようになりますが、上手、下手は関係なく、真心を込めて書くことが大切です。

写経会に参加された方々にご意見を頂ました

「集中できるというのが非常にいいですね」
「一時間の書写はあっと言う間に過ぎてしまいました。時を忘れる──を久々に感じました」
「共同作業ではないので、人に気遣う必要もありません」
『写経』を通して人のつながりが出来るかもしれませんし、そういうきっかけづくりにもなっています。私にとって小さなカルチャーです」
「気軽に集中できる時間をもてるのがとってもいいところです」

『写経』は認知症の改善アイテムとしてクローズアップされています

認知症の改善と防止策として、脳を活性化するのに「写経」が効果が高いという研究成果を川島隆太・東北大学教授と学研の共同研究グループが発表されています。
脳の活性化が高いほど認知症の治療や予防に効果があると『写経』は認知症の改善アイテムとしてクローズアップされています。

用具



【紙】

写経用の料紙として、黄檗で染めた鳥の子紙が一番適すといわれていますが、かな用の染紙、唐紙、雲紙、具引紙なども用いられます。
丁寧に時間を十分かけて書くものですので、あまり粗末な料紙は使わないようにしたいものです。
写経用紙として市販されているものには、紙質も鳥の子、三、楮、洋紙などがあります。
界線(罫のことを写経では界といいます)が印刷されたものもあります。
最初はできあいの写経用紙を買い求めて使用するのもよいと思いますが、やがてご自身で染紙に適当な大きさに界線を引いて使用してみたいものです。

▼紙の種類

●斐紙
雁皮を用いた強靱で滑らかな上質な紙です。奈良時代には斐紙、平安時代には厚様、薄様と呼ばれていました。
鳥の子紙は室町以後名付けられた用紙で、玉子の殻の色に似ているのが特徴です。

●麻紙
奈良時代の最上質の紙です。麻布を細く切った紙麻から抄造したものです。

●穀紙
奈良時代に楮を原料として抄造した紙です。

●楮紙
楮は荒地にも栽培できるので、日本全国各地で作られました。
楮とよく似た桑科の樹木も用いられ、日常使用の紙はほとんど楮紙で、平安、鎌倉から今日に至っています。和紙といえば楮紙といわれる由縁です。


▼染の種類
写経には黄檗染めがよく使われます。
黄檗染めは、黄檗の皮を煎じた汁で染めたものです。防虫の効果があり、写経用紙として最もポピュラーな用紙として用いられてきました。
このほかに丁子染め、丁子吹き、香染め、紺紙、紫紙などがあります。

【筆】

写経の書体は、形が整っていることが必須条件なので、それに適した筆が望まれることになります。
中国製の小筆は安価で案外書けるものがありますから、何種類か試し書きして、ご自身の手に合ったものを選ぶとよいでしょう。
日本製の小筆は製法も丁寧ですが高価なようです。

小筆の寿命は使い方と料紙によって多少異なりますが、普通は一本あたり般若心経四、五巻分は十分に書けるようです。
筆の大きさは軸のすげ口の太さを号で表しますが太字用は三、四、五号くらい、中字用は六号、細字用は七号から九号くらいとなります。

新しい筆を下ろす場合は、布海苔で毛を固めてありますので、指先で穂先の三分の一くらいを丁寧に揉み解し、水で湿らせて糊気をよく落とします。
糊気は一回では落ち難いので、水に二~三回繰り返して漬けてから、水分といっしょに紙か布で拭き取ってしまいます。
水気を拭き取ったものに、いよいよ濃墨を含ませます。 墨を含ませる部分は半分か、三分の一くらいにします。
あまり根元まで含ませますと、穂先が割れてしまったり、腰も弱くなって書き難くなってしまい、長持ちがしなくなってしまいます。

使った後は、水で湿らせた反古紙、又はスポンジに水を含ませて墨の部分をよく拭き取って、形を整えて、了ってください。
使った後の手入れが悪いと、腰が固くなったり、穂先が割れてしまったり腰も弱くなって書き難くなり、長持ちしなくなってしまいます。

【墨】

写経用の墨は和墨(日本製)が最も適すようです。
油煙墨と松煙墨とがありますが、写経用には油煙墨をが適します。

写経するにあたっては墨の使用量は微々たるものですので、純油煙墨の上質のものを使われるとよいと思います。
大きさは一挺形(目方15g)、又は、半挺形で、上等の和墨がよく、墨の香りについても和墨は唐墨よりも優れています。

墨は枯れるほどよくなるといわれています。少なくとも製造してから三~四年以上たったものがよいとされています。
気に入ったものがあれば数挺買っておいて、自分の手元において枯らしてから使うのをおすすめします。
墨汁や練り墨は便利なようで使いたくなりがちですが、写経には適さないようです。
まず香気がありませんし、粘り気が強く線質がスッキリしなくなりますし、墨色も劣ります。

硯面に水を注ぐ場合、五~六滴にします。
それをていねいに、墨汁の粘り具合が自分の好みにあうように注意してから擦っていってください。
十行から二十行書いて、硯面に墨がなくなったところで、また五~六滴注いで新しく擦り足します。
これを繰り返したほうが墨色が冴えてきます。

一度にたくさんの水を注ぎ、墨池いっぱいに溜まるほど擦っておくのは、長時間同じ墨色で使えるようにと思いがちですが、実は硯面の水分は蒸発してしまい、墨池の墨は沈殿したりするので、かえって一定の墨色を保つことができ難くなるのです。

墨の擦り方は、あまりカを入れず、硯面に対して墨は四五度くらいの角度に傾けて擦っていきます。
これをときどき表裏をとりかえて擦っていくと、墨の擦り口がV形になります。
こうすれば墨の擦り口が斜めになることがなく、墨を擦る力も平均するようになります。

擦り溜めた墨は長時間そのままにして置くと沈殿してきます。
こうなると腐敗寸前の状態で、墨汁の粘りがあまりにも強くなってしまい使用に堪えられなくなってしまいます。
くれぐれも余分の墨を擦り溜めしないようにしましょう。
使い残りの墨は反古紙できれいに拭き取っておくことも忘れないようにしましょう。

【硯】

写経用の墨汁は極めて少量で済みますので、出来るだけ小形の硯をお勧めします。
硯は文房四宝の中で〈筆、墨、硯、紙〉最も寿命の長いものとされてきました。硯は一生のもの。子孫の代まで愛用して使えるものなのです。

硯の表面は滑らかにみえますが、「鋒芒」(石の目)とよばれる細かい凹凸になっています。大根おろしの歯のようなギザギザになっていて、これで墨が削られて擦れるのです。いくら固い石でも鋒芒がなければ硯とはよべません。

硯を使った後は、墨をよく拭き取ります。また、鋒芒は長く使っていると潰れてくるので、研磨用の小さな砥石で、墨をするのと同じように静かに硯面を磨きますと鋒芒が戻ってきます。

▼硯石の種類
中国産の「湍渓石」や「歙州石」の小形のものが安価で手に入りやすいと思われます。
国産の硯石では「玄昌石」「雨畑石」「竜渓石」の小形のものが写経用としては最もポピュラーです。

【机】

机は、高さ33センチくらいが一般的とされています。
あまり高すぎると書き難いし、低過ぎても姿勢が悪くなってしまいます。
足の指を重ねて静座したときに、しびれ難くい高さが良いと思われます。
椅子に腰かけて書くときは、たいてい机が高すぎるようですから、座布団などを敷いて適当な高さに調整するとよいでしょう。

【文鎮】

紙を動かさないために使います。
紙が動かなければ、金物でもガラスでも石でも木でも何でもよいですが、なるべく細長い形状のほうが、紙を押さえるのに都合がよいようです。
写経料紙と手本の両方に必要ですから、小形の文鎮を二~三個用意しておくとよいと思われます。

【塗香】

香料を細かく粉末にしたもので、たいへん香りのよいものです。
手のひらに刷り込むように塗ってから書き始めると写経の気持ちを引き立てるばかりか、手の脂が料紙に着く心配がなく、夏季などにはたいへん重宝なようです。

【覆面瓠】

清浄な半紙と紙縒で作ったマスクのようなものです。
写経するときに息が直接書いた文字にかからないように口を覆うものです。
ゆるく口に当たり、ゆっくりと呼吸できる程度のものがよいです。

【料紙の天地と前後のサイズ】


写経料紙は長さ四七センチ、高さ三〇センチくらいが標準サイズとされています。
これに天地(上下)に横の界線を引きます。
天地の界線の間隔は、およそ二〇センチです。
天(上)のあきより地(下)のあきの方を少し広くするようにします。

これは経典を下には置かず、少しでも上にという崇敬の気持ちを表しているのです。
天地の広さの割合は四分六分くらいが適当と思われます。
前後は一行あけるようにします。

書式



【界線(罫線)の引き方】

写経の罫は「界」といいます。
かつて鎮護国家のためとして国家事業の写経所や大きな寺院において書写されたという天平の写経の界線などをみてみますと、淡く引いてあります。
濃すぎたり、太すぎたりすると線ばかりが目立ってしまい、品が悪く、汚く見えてしまいます。

界の引き方は半紙二~三枚練習し、うまく引くことに努めます。
料紙に界線を引く場合、ポスターの裏などを利用して下敷きにすると便利です。

写経用紙に引く界線の位置を濃い目の鉛筆で太く、濃く引いておきます。
横の界線も縦の界線も、紙いっぱいに引いておくようにします。
この下敷きの上に、天地のあきの具合をよくみて写経料紙をおきます。
文鎮でしっかり押さえて天地に横の界線を引きます。
縦の界線も引きます。
界線の幅は1.8センチ~2センチくらいが標準ですが、料紙の大きさ、文字の大きさによって、界高、界幅は変わりますので工夫してみてください。

【字詰め、内題と本文と偈】

写経の字詰めは一行を十七字詰めと決まっています。

最初の一行目は空白にし、二行目に『内題』を書くようにします。
内題とは本文の巻頭にある経名のことで、この経名は〈必ず本文より字間を詰めて書き〉、〈本文と同じ大きさに書くこと〉を心掛けるようにしてください。

本文の十七字の字割りは定規を当てて書くようにすれば、出来上がったところで横も揃う筈ですが、大きい字や小さい字があったりで、横に揃うようになるのは難しいようです。

【字割りの定規】

字割りの定規は本文用の十七字詰めのものと、偈の種類によりそれぞれのものを作っておきます。
画用紙のような厚紙を幅3センチ、高さは写経用紙と同じ寸法に切って、中間を十七等分と、偈によって作ります。
この字割り定規を料紙にあてて、その一区画ごとに本文を書いていくようにします。
(手本通りの時は、使用しなくても書写できます。)

【奥題(竟題)】

巻末の経題のことを「奥題」あるいは「竟題」といいます。
(巻頭の経題を「内題」という)「竟」とは終わりの意味です。
奥題の書写の方法は、本文の終わった行から一行の空白をおいて書くようにします。
但し、心経のような短文では省略してもよいです。

【願 文】

平安時代以降の写経をみますと願文も簡単に、年時、姓名、写経の場所、誰のためといったふうに書いてあります。

このような作業が苦手な方や初心者の方は、当社の写経用紙をお勧めします。
最初からバランスのとれた美しい仕上がりになり、写経が楽しくなり、心豊かな清々しい気持ちになるでしょう。

◆書写年月日と記名
書写年月を書くときは、意題から(省略した場合はお経の最後の行から)一行空白をおいて、年月日、氏名の下に敬寫(写)と書くようにします。
行頭は必ず本文より低く、文字は本文より小さめで、字間もずっと詰めて書きます。
最後は地の界線のすれすれになるようにに納めます。

氏名には決して雅号を用いないことです。雅印も押さないことです。
それは、写経は風雅な遊びとは一線を画するからです。

◆誤字、脱字のとき
書いているうちに脱字してしまったという場合、気がついたらその位置に小さく点を打っておき、行の終わりにその字を書くようにします。
誤字を書いた場合は行の上のほうならその字の傍に点を打っておき、字間を詰めて一行十八字詰めにして、行の終わりに正しい字を書くようにします。
一行まるまる脱してしまったら次の行に書くようにします。
行頭に小さく「↑↓」の印をします。脱行をあとで発見したときは小さい字で一行書き込んでおくようにします。

写経の開始



写経の手順

写経は古来さまざまな形式作法で行われてきました。
現在、宗派やお寺によって作法は多少異なりますが、簡略化した一般的な流れは次のようになります。

一、 用具を机上に揃え、墨を擦る。
二、 合掌して読経する。
三、 書写する。
四、 書き終えたら合掌し、誤字、脱字がないか確認する。
五、 回向文を唱える。

回向文

願わくばこの功徳をもって普く一切に及ぼし、我らと衆生とみなともに仏道を成ぜんことを

書写体と字典体

写経の文字には普段使われている活字体と異なった文字がたくさん使われます。
活字体は字典体として中国では清時代以降、わが国では明治以降に行われるようになりました。
書写するにはあまり美しくなかったり、書き難くかったりするので、写経では古来のしきたりに従い、書きやすい形の美しい書体を用います。

筆の持ち方

鉛筆と同じように持ちます。
人差し指一本を筆にかける単鉤法と、人差し指と中指の二本をかける双鉤法があり、一般的には大字を書くときは双鉤法、細字のときは単鉤法と区別されているようです。

腕法

腕の構え方、運び方を腕法といい、左手に右手を乗せる「枕腕法」、手首を机にあずける「提腕法」、腕を机につけない「懸腕法」の三パターンがあります。
細字には枕腕法あるいは、提腕法が適しているようです。

納経について

心を込めて書写した経典は大切に保存しておきたいものです。
先祖の供養のためとか、あるいは縁者の冥福を祈るためなどに書写した場合、ゆかりの寺院に奉納することも意義あることです。
納経されたい場合は仕上がった写経に回向料をつけて、所縁の寺院に奉納します。

修行としての写経



修行としての写経

「写経とは、経典を書き写すことです。
経典は、仏の心・教えですから、写経をするのは“仏を写す修行”といえます。
写すは移すで、仏の心や教えを、私たちの身や心に転移する願いの実践です」。

これは川崎大師平間寺の写経会案内文の一節です。
写経とは仏の言葉を写す=仏を自身に移す=仏と一体になる修行なのです。
『般若経』や『法華経』には経典を受持・読誦・解説するとともに書写する人に大いなる功徳があると説かれています。
今も昔も経典の書写は、仏教徒にとって重要な修行の一つなのです。

仏教の修行には大きく分けて二つの目的があります。
一つは自身を向上させること、自分の利益のための修行です。
二つ目は他人に利益を与える修行です。

前者は自利行、後者を利他行といいます。
大乗仏教では、この二つの修行を行う人を菩薩といいます。
具体的な菩薩の修行徳目して布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧の六波羅蜜の実践が求められます。
写経はこの六波羅蜜にかなう尊い修行の実践なのです。

納経・奉納

さて、仕上った後の写経は、どのようにしたらよいのでしょうか。
心を込めて書き上げた写経を、粗末にはできない。
もちろん捨てることなど到底出来ません。
写経はお寺に納経・奉納することにしましょう。
納経することによって、より仏さまとより深い縁を結ぶことが出来るのです。

納経する場合、写経の最後に「願文」「書写年月日」「氏名」を書くようにします。
願文には祈願と供養の2つがあります。

祈願の場合には、
「為家内安全也」「為身上安全也」
「為災厄消除也」「為病気平癒也」
「為学業成就也」「為良縁成就也」
「為安産満足也」「為心願成就也」

供養の場合には、
「為○○家先祖代々精霊菩提也」
「為○○(戒名・法名)菩提也」

などいずれも「為」の字の次に願いの言葉(願意)を書きます。
また願文は自分の願いですから、和文で書いても構いません。
あまり長くならないよう簡潔に書くようにします。

さて納経の方法ですが、お寺の写経会に参加された場合は、そのお寺に納めるのが普通です。
自宅やその他の場所で書いた写経については、関係するご寺院があれば、お彼岸やお盆などの法要のとき、あるいは年忌法事などの際に納めることも功徳のあることです。

また身近なお寺でも納経を受け付けてくれるところもあります。
事前に問い合わせをしてご自身で持参するようにするのもよいでしょう。
郵送などでも受付けているお寺もあります。事前に問い合わせる必要があります。

全国には弘法大師の四国八十人ケ所霊場、西国・坂東・秩父等の三十三観音霊場、不動尊三十六霊場など様々な霊場があり、これら霊場・札所への巡拝の機会などがあれば、こういう機会に納経するのも功徳のあることです。

自分が精魂こめて書き上げた写経を、身の回りに置いて諸仏の加護を願いたいという人もいると思います。
自宅で保管する場合は、粗末にならないように写経箱又は写経文庫のようなものを用意して仏間など清浄な場所に納めておくようにしましょう。
仕上がったものが多くなった場合は菩提寺や由縁のあるお寺などに納めることをお勧めします。

納経に際しては、そのお寺のご本尊様の前で読経していただき、よくよく祈念して納経料を添えて納めるようにしましょう。
納経帳があればその時にご朱印をお願いするようにします。
一回に納経する数に決まりはありません。
汚れたり破損したりすることのないように封筒や筒などに入れて納めます。

現代はスピードが特に要求される時代、パソコンやメールなどのテクノロジーの普及で自筆での手紙を書く機会が減ってきています。
ましてや筆を持つ機会は皆無といっても過言ではありません。

日々の生活が多忙を極めている人も多くなっています。

多忙の「忙」は心を亡くすことです。自分の心を見失うことです。

このような時代にこそ写経によって、自身を見つめ直す静寂な空間の時間をお勧めします。



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